図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

利用者はただ消費するだけ?-----ユーザーの恩返し

ニューヨーク公共図書館の報告では、大規模で華やかなサービスや運営の実態にも胸がときめくものがあります。 しかし何より胸を熱くするのは、利用者はただ与えられるものを受け取り、たまに文句を言うだけの存在ではなく、図書館を共に作り、運営していく仲…

図書館でお金を稼ごう! -----ニューヨーク公共図書館の華麗なる資金獲得法

さて今まで紹介してきた通り、とーってもゴージャスなニューヨーク公共図書館ですが、資金獲得法も非常に華やかです。もう、これなんてルパン三世?ばりのラグジュアリーな手法がこれでもかと紹介されています。 図書館友の会 年間25ドル〜25,000ドルの会費…

未来をつくる図書館 -後編-

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)作者: 菅谷明子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/09/20メディア: 新書購入: 9人 クリック: 271回この商品を含むブログ (76件) を見る昨日に引き続き、本稿では「ニューヨーク公共図書館」の方で…

自己責任への挑戦------求職者への支援(pp.53-pp.58)

ニューヨーク公共図書館の分館内にある「職業情報センター」では、求職者への支援が行われています。センターには就職や転職、専門技能などに関する書籍や各種新聞、雑誌、パンフレット、公務員試験の案内や出願書類、各種資格試験の参考書、奨学金や就職支…

非生産者は切り捨てるべき?------老人・障害者への支援(pp.125-pp.134)

こちらも引き続き、ブルックリン公共図書館の事例が報告されています。 同図書館は高齢者サービスのための独立部門を持っています。そこに所属するシニア・アシスタントというスタッフは全員が55歳以上です。つまり、高齢者の支援を高齢者自身が行っているの…

甘やかしてると思いますか?------子どもたちへの支援(pp.117-pp.125)

こちらでは、ニューヨーク公共図書館ではなくブルックリン公共図書館の興味深い事例が紹介されているので、そちらを取り上げてみます。 まず、この図書館では子どもたちが静かにしていません。 アメリカの家庭は大半が共働きで、多くの子どもは放課後から親…

未来をつくる図書館 -前編-

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)作者: 菅谷明子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/09/20メディア: 新書購入: 9人 クリック: 271回この商品を含むブログ (76件) を見る日本でのビジネス支援図書館ブームの火蓋を切って落とした菅…

日暮里駅が修悦体天国な件について

ガムテープ文字案内の佐藤修悦日暮里スペシャル2007 [TRIOFOUR]上記ページにもご紹介がありますが、去る10/27、ひょんな用事で日暮里駅に行ってみたら……まさに修悦体天国でした!!という訳で最新の日暮里駅の様子を色々ご紹介。 まずは出入口。「入」の字…

『ラーメン屋さんから石屋さんまで「ビジネス」を助ける図書館 はじめの一歩』pp.56-pp.62

最後になる山崎氏の稿は、他のものとは少々毛色が違います。 これは秋田県立図書館の職員である山崎氏が、自らの図書館でビジネス支援サービスを開始する経緯について語ったものです。山崎氏は菅谷氏によるニューヨーク公共図書館の事例報告を聞き、自分の勤…

「市民の図書館」から「市民活動の図書館」へ pp.44-pp.54

こちらで論じられている基本的な主張は、以前取り上げた『税金を使う図書館から税金を作る図書館へ』とほとんど共通しています。 しかし、こちらの『「市民の図書館」から「市民活動の図書館」へ』の方がよりストレートに主張が表れているため、松本氏の図書…

進化する図書館へ -後編-

進化する図書館へ作者: 進化する図書館の会出版社/メーカー: ひつじ書房発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る前日に続き、『進化する図書館へ』内の松本功氏、山崎博樹氏の執筆稿を読んでいきます。

小野田美都江「デジタルデバイドを解消する図書館」pp.24-pp.43

コンピュータやインターネットの普及によって、情報通信技術にアクセスする環境や機会を持つか持たないか、あるいは、IT活用能力を持つか持たないかで、社会的・経済的な不利益を被る可能性が生じている。 (前掲書 p.24) という冒頭から始まる本稿は、表題の…

菅谷明子「進化するニューヨーク公共図書館」pp.2-pp.23

※初出は『中央公論』1998年8月号本稿では、ニューヨーク公共図書館で提供されている様々なサービスを紹介しています。菅谷氏の著作すべてに共通することですが、新聞のルポルタージュのような明快で分かりやすい文章で、非常に読みやすいです。 ニューヨーク…

進化する図書館へ -前編-

進化する図書館へ作者: 進化する図書館の会出版社/メーカー: ひつじ書房発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見るこの本は「進化する図書館の会」メンバーである菅谷明子、小野田美都江、松本功、および秋田県立図書…

全国学力・学習状況調査について

※勢いで書いた脊髄反射エントリです。後で消すかも。[解説]全国学力テスト : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) しかし、今回は、国の施策に反映させると同時に、現場での指導に生かすことも目的とした。対象になった小学6年生や中学3年生は…

ビジネス支援図書館って具体的に何をしてく

ビジネス支援図書館と聞いたときに、とにかく便利そうだとは思うのですが、具体的に何をしてくれるのかはいまいちよくわかりません。でもきっと、わざわざ「ビジネス支援」と銘打っているので、きっと普通の図書館とは一味違ったすごーーいサービスが受けら…

TOKYO SPRingの情報がWeb上にほとんどない

東京には、どうやら「ビジネス支援ライブラリーTOKYO SPRing」というモノが存在するらしいです。ビジネス支援ライブラリーの開設及び開館式の開催 東京都ではこの度、ビジネス支援ライブラリー(愛称:TOKYO SPRing)を開館いたします。主に創業…

図書館での不登校児受け入れ

松本氏は本著の中で、図書館が不登校児を積極的に受け入れてはどうかという提案を行っています。 どうして学校に通っていないとおかしいと地域でも図書館でも思ってしまうのだろうか。自分で昼間勉強したり、本を読んだりするのがそんなに変だろうか。(前掲…

無料というのはそんなに美しいか?

松本氏は本著の中で繰り返し「情報提供にはお金がかかっている」ということに思いをはせ、利用者は情報提供者にそれなりのコストを支払う仕組みについて考えるべきだという主張を行っています。これは、具体的には「海賊版を作らない・利用しない」「資料は…

ビジネス支援図書館

本著では、理想の図書館を 知を産み、育て、議論を促し、新しい社会を作る何ものかであるに違いない。それは、いままでの図書館を乗り越えた全く違う何かではないだろうか。(前掲書 p.10) と定義し、その一つの具体的な形としてビジネス支援図書館*1を提案し…

税金を使う図書館から税金を作る図書館

松本功『税金を使う図書館から税金を作る図書館へ』ひつじ書房 2002本著はひつじ書房代表 松本功氏が『図書館の学校』に連載した26回の記事をまとめたものです。独自の視点から図書館に対する問題提起が行われています。記事は一つが2、3ページと読みやすい…