駅ナカ図書館は田舎にこそ必要だと思う
先日甲府にワインを飲みに行ったのですが、そのとき甲府の駅前に「駅前に図書館を!」というのぼりが何本か立っているのを見ました。どうも甲府駅北口付近に山梨県立図書館を新築移転させるという構想があるようです。*1
先日ご紹介してきた静岡市立御幸町図書館、浦和駅東口に開館するさいたま市立中央図書館、2006年に開館した民間によるふなばし駅前図書館などなど、駅前・駅ナカ図書館は最近流行りなのかもしれません。
確かに駅は交通の便もよく人が多く集まる場所なので、こういう場所に図書館を作るとより沢山の人が利用やすくなりますね。
ここでちょっと私事になりますが、今まで一身上の都合で日本国内を転々と移住する生活を送ってきました。東京都庁のお膝元から舞妓はんと八つ橋の都、携帯の電波はdocomo以外入らないド田舎まで、色んなところに行きました。
当然、田舎には大自然と広い家がある代わりに便利なモノがあまりありませんでした。車がないと生きて行けない、学校や学習塾に通いにくい、電車が一時間に一本、お洒落なカフェやお店がない、仕事がない……
でも田舎暮らしで不便だと感じた最大の点は
- 大きな本屋さんがない
だったんです。
ぶっちゃけ、学習塾なんかはそこまで必要だと思いませんでした。適切な参考書と、有名カリスマ講師じゃなくても丁寧に教えてくれる教師さえいれば、あとは勉強など自分のやる気の問題です。進学校に通わなくても、数ヶ月に一度模試を受けて過去問が普通に解けるまで自力で勉強すれば、十分その辺の国立大学くらいは入れます。
またお洒落なお店や遊びに行くところなどは、今時少々の田舎ならカラオケやゲームセンター、お酒が飲めるお店もそれなりにあります。毎日新しい洋服を買いに行く訳ではないし、日常最低限の買い物も言うほど不便ではありません。お洒落さを求めるのであれば、少し面倒だけれど1時間も電車に揺られればそこそこ大きな街に出ることもできました。
でも、本屋さんだけはかなりどうにもなりませんでした。
田舎にある本屋さんは大体小さなお店で、流行りものの雑誌や漫画、ベストセラーが入れば一杯になってしまうようなものが殆どです。ちょっと突っ込んだ内容の本が欲しいと思ってもなかなかありません。また、いくらamazonの品揃えがよいと言っても、特定の欲しい本が決まっているときはよいですが、パラパラと色んな本を読み比べて選ぶことはできません。
大きな街まで出れば大きな本屋さんもありましたが、そもそも私にとって本屋さんはあくまで通勤・通学のついでに立ち寄りたい場所であり、他に遊びや買い物などすることが多い休日に本屋さんで本をダラ見するという時間の使い方は困難です。
こんなブログを書いているくらいだからそれなりに本は好きですが、私は特に読書家というほどではありません。それでも、通勤・通学のついでに本屋さんに立ち寄って新刊の漫画やミステリをチェックしたり、仕事に関係のある業界誌を眺めたり、ネットで話題になっている本を確認したりできない生活はかなりストレスが溜まりました。
そういう生活を続けていると、どうも世間から取り残されたような気がして落ちつかないどころか、広告やマーケティング関連の業種では実際に仕事に支障が出ると思います。
大した収益の見込めない田舎で、ジュンク堂に出店して欲しいというのは無茶な話です。ですがそんな田舎にこそ駅に気の利いた選書の図書館があれば、ずいぶん便利なんじゃないかなーと思います。
特に観光を主な収入としているような街では、やはり街ぐるみでトレンドに敏感であるための施策、またベンチャーを積極的に誘致したい自治体は、最新の情報にちゃんとアンテナ張ってますよーというアピールとして、駅ナカ図書館を検討してみる価値はあるんじゃないでしょうか。