図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

図書館と博物館についてもっと知りたいいくつかのこと

今回は「図書館と博物館が互いに学ぶべき3つずつのこと」に頂いたコメント
MLAについて自分が学んだ少しのこと
こちらの記事にレスしていきます。

id:DIEtrich様、丁寧なコメントをありがとうございました。個人的に東博は大好きな思い入れの大きい施設なので、事情を教えて頂いてとても嬉しいです。風邪はもう大丈夫でしょうか?お大事になさってください。

データベースとOPACについて

モノ(=資料)の写真を取り込んだ画像ファイルについては、やり出した時期も比較的最近なので、(おかしいのもあるが基本的には)1つの画像ファイルに1つのユニークなIDが付いてますけどね、モノに対するIDがIDなのかこれって代物。

素人目に見ても「別のもの」に同じIDが付いてたりとか、「同じもの」に別のID付いてたりとか、東博の収蔵品なのにID付いてなかったりとか。

東博のモノに対するIDは列品番号って名前なんですが、この付け方が「分類記号(アルファベット1〜2文字)+ハイフン+何桁かの数字(+ハイフンもしくはアンダーバー+N)」なんですよ。

ウワァ…… (;´Д`)
実は以前、ひょんなことから某自然科学系のデータベース作成にちょっとだけ関わったことがあるのですが、それもこんな感じでした。なんていうか、そもそもインデックスやデータベースって何のことか理解していない人が作ったの?と素で聞きたくなってしまうんですよね。実にげんなりします。
世の中のすべての学術資料に関するデータベースがこうだとは言いませんが、せめてユニークIDという概念くらい理解してからデータベース設計にとりかかって欲しいと思うモノが多いのも事実です。

ご紹介頂いた以下のデータベースですが
東京国立博物館 事業成果 データベース
失礼ながらこちらも……その……すごく……斬新です(> <)
古写真データベースが一番いいかな……。


それで、上記データベースを使っていても思ったことですが

あとあれだ。図書館でOPAC使うことと博物館でOPAC使うことの違い。

そもそも何があるのかわからないから探せないという感想があったりします。あとどういったデータが入ってるか分からないとか。

一利用者としての個人的な意見ですが、何があるのか分からないから検索をかけたいとも思っているのです。具体的にどういう使い方をしたいかというと:

  • 備前の日本刀をできるだけたくさん見たい。刀剣博物館と東博、展示数が多いのはどちらなのか、両博物館DBに「備前 日本刀」というキーワードで検索をかけたい。
  • 鎌倉時代に描かれた肖像画と江戸時代に描かれた肖像画の比較研究をしたい。それぞれの時代について、東博がどのような肖像画を所蔵しているのか一覧を取得したい。
  • 以前東博で見た、ウサギの耳がついた甲冑について製造年代や製造地などの詳細を知りたい。名称に「兎」という文字が入っていたことは覚えているから「甲冑」のカテゴリから「兎」というキーワードで検索をかけたい。
  • 自由研究で黄鉄鉱の結晶の種類について調べたい。科博がどのような種類の黄鉄鉱の結晶標本を所蔵・展示しているのか知りたいので、科博DBに「黄鉄鉱 標本」で検索をかけ、写真を確認したい。

といった使い方でしょうか。上のデータベースは、ここに挙げたような使い方はどうもできないようですね(^^;

図書館のOPACでも、ピンポイントで欲しい本をさがすこともあるのですが、件名検索を使って目的の分野に関連する本をざっと見る、といった使い方をすることもあるので、そういった使い方ができればいいなと思います。

レファレンスサービスについて

あと図書館だと、日図協の参考事務規定で答えられるのが決まってるじゃないですか。健康情報とか法律相談系は最近やりだしてるみたいですけど。

博物館だと線引き難しいじゃないですか。

「南京」で何人亡くなったの?とか、資料はあるんでしょうけど怖すぎですよ。それを例えば国の機関的な歴博とかアジ歴が答えていいのかってことですよ。

すみません、このあたりいまいちピンとこないので、もう少し詳しく教えて頂ければ幸いです。

博物館では日図協の参考事務規定のように、利用者からの回答に際して何らかの規定を作るのが難しい事情があるということでしょうか?

図書館も公の機関ですが、たとえば「『南京』で何人亡くなったの?」という質問に対しては
「その問題は現在でも諸説あり、断定が難しいので明確な死亡者数は回答できません。ですが、現代における主要な説としては大きく分けてA説とB説とC説があります。それぞれの説に関しては、以下の文献を参考にしてください」
といった仕方で回答すると思います。博物館ではこれができない、もしくはこの回答の仕方では何らかの問題が生じるのでしょうか?
その辺りの事情を教えて頂ければ嬉しいですm(_ _)m

それと、博物館の係員さんに話しかけていいのかという問いですが、これは博物館の係員さんにはとっても話しかけにくい雰囲気があることが多い、ということを問題にしたかったのです。
図書館側も気をつけなくてはいけないことですが、見知らぬ人に何かを質問するのはとても緊張します。ましてや展示室のシーンと静まり返った空間で、利用者が展示物に何か変なことをしないか睨みつけている(ように見えたりするんです。実際はそうではないでしょうがごめんなさい(> <))人に話しかけるのは本当に勇気が要ります。というかできません
そういう状況の改善案として、たとえばレファレンスカウンターの設置があるんじゃないかな、ということでした。

参考図書の案内について

文化遺産オンラインのようなWebcat+等OPACとの連携なら簡単でしょう。グリモンでも書けばいいわけで。

あー、実際その程度のことでいいからやってほしいと思います。PC端末操作のスキルがない人などのために、博物館内に端末を並べて傍にガイドさんがいてくれれば素晴らしいですね。

その他、図書館についてなど

ライブラリーショップが大阪市立中央図書館にあるとのことで、今度行ってみようと思います。ありがとうございます。フロアガイドを見る限りレストランもあるようですね。豪勢です。行ってみたらまた本ダイアリーでレポート致します。

例えばハンズ・オン。本物と全然違う素材で「勾玉作り」してどんな教育効果があるのか。

本物と全然違う素材で勾玉作り?!最近はそんなことをやっているのですか……なんだろ、興味・関心を持たせるため、とか?うーん……

ハンズオン展示は良いハンズオンと悪いハンズオンがあって……というと話が終わってしまいますが、やり方次第で大変な効果を上げられるものですので、行う場合は目的と手段と対象を十分に検討した上で行いたいものです。

たとえば、江戸東京博物館では視覚障害者向けにバリアフリーを目的としたハンズオン展示を行っています*1。子どもだけでなく、色んな層の来館者を対象としたハンズオン展示が望まれます。


id:DIEtrich様、そして博物館と図書館に関心をお持ちの皆様、またコメント頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。