勉強の意味がわからない人へのブックガイド
※ここに紹介する本はすべてが子ども向けではありません。しかし適切な大人の助けがあれば、どれも中学生でも読み通せるものです。
ちきりんさんを発端とする普通教育課程再構築の話がにぎわっているようです。
- 下から7割の人のための理科&算数教育 - Chikirinの日記
- ちきりん氏のお粗末な科学教育論 - バッタもん日記
- 教育を語るならトレードオフを見よう! 経験学習vs系統学習 - コウモリの世界の図解
わたしは教育学徒ですから、いずれの立場であれこういう話題をきっかけに皆さんが教育学について興味を持って頂ければとても嬉しいですし、ぜひ 『文章読本さん江 (ちくま文庫)』 や『学歴貴族の栄光と挫折 (講談社学術文庫)』でも読んでもらいたいなーと思っております。
なので本稿ではわたしの意見というよりは、
「何のために勉強するのかわからない」とお悩みの中高生や
「子どもにどうやって勉強の面白さを伝えたらいいのか分からない」とお悩みの保護者、教師の方に向けてお送りします。
承前
勉強に対して意義が見出せずやる気がなくなる主な理由は
- 勉強という行為が単純に面白くない
- 適切なロールモデルやゴールが見えない
- 疲労
です。
特に上2つは密接に関連していますが、机に向かってもくもくとドリルを解いたり年表を暗記したりするような作業を「面白い!」と感じるには、相当のモチベーションや目標が必要です。
ここで言う目標なりロールモデルなりは、抽象的なものでは効果を発揮しません。また恐怖心をあおるようなものでも面白さにはつながりません。
「勉強しないとロクな大人になれませんよ!」
「勉強したらいい大学に入っていい会社に入れて年収が上がりますよ」
式のお説教はあまり効果がありません。
かといって、あんまり具体的過ぎて断片的・実際的になってしまっても持続的なモチベーションにはつながりません。
「数学をやると複利について分かるからクレジットカードを持った時に賢く使えますよ!」
と言われても、中高生にとっては
「だから……?」
でしょう。
社会に出た時どんなに役に立つことでも、まだ社会に出ていない子どもにとっては実感がありませんし、そんなことのために毎日8時間も勉強するのかと思うとあまりにも夢がなくてげんなりするかもしれません。
今すでに勉強へのモチベーションにつながる何かワクワクすることがあるならよいですが、そうでないから勉強へのやる気が低下している訳です。勉強のまっすぐ先にあるワクワクを具体的に見せる必要があります。
ですからこのブックガイドでは、勉強の先にはこんなに面白い人生が――いや、数冊の本で語るには人生はあまりにも可能性に満ちています。こんなに面白い冒険が待ってるよ!という観点で本を選定していきます。
勉強したくない子ども、勉強したくなかった大人に送る7冊
橙乃ままれ『まおゆう魔王勇者』
まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
- 作者: 橙乃ままれ,toi8
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/12/29
- メディア: 単行本
- 購入: 25人 クリック: 1,935回
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同著者の『ログ・ホライズン1 異世界のはじまり』もおススメです。これで君もいつ異世界へ飛ばされても安心だ?!
支倉凍砂『狼と香辛料』
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
- 購入: 18人 クリック: 471回
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橘玲『亜玖夢博士の経済入門』
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 31回
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博士を取り巻くキャラクターもとっても魅力的です。「相談無料。地獄を見たら悪玖夢へ」
クリフォード・ストール『カッコウはコンピュータに卵を産む』
- 作者: クリフォード・ストール,Clifford Stoll,池央耿
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1991/09/30
- メディア: 単行本
- 購入: 37人 クリック: 582回
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ノンフィクションです。1991年の古い本なので今となっては色々と事情の違うところも多いですが、インフラエンジニアってこんなに血沸き肉踊る仕事だったのかー?!とびっくりします。いつも使っている割に仕組みが抽象的で良く分からないインターネットですが、情報を勉強する意欲が湧いてくると思います。
現在再版未定扱いのようですね……高校生のわたしはこれを読んでいて学校をサボったくらい面白かったのですが、再版を期待します。
ウィリアム・パウンドストーン『ビル・ゲイツの面接試験 -富士山をどう動かしますか?』
- 作者: ウィリアムパウンドストーン,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2003/06/15
- メディア: 単行本
- 購入: 34人 クリック: 8,161回
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「勉強しないといい会社に入れませんよ!」の具体的な意味内容がこれでわかるかもしれません(?)
高橋昌一郎『理性の限界』
理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋昌一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
- 購入: 3人 クリック: 2回
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松井優征『暗殺教室』
- 作者: 松井優征
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/11/02
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 392回
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番外『できない子は知恵の悪魔と呼ばれるようです』
「できない子は知恵の悪魔と呼ばれるようです -このやる夫スレ、まとめてもよろしいですか?」
本ではないので番外扱いです。やる夫シリーズですがやる夫出てきません。数学ガールが古代ファンタジー世界で無双?するお話です。テイストとしては先頭の2冊に似ていますね。これで君もいつ異世界に召喚されても安心(ry
如何でしたでしょうか?一冊でも読んでみたいと思えるものがありましたら幸いです。ほかにもサイモン・シン『暗号解読』やスマリヤン『無限のパラドックス』、パウンドストーン『天才数学者はこう賭ける』などなどたくさんご紹介したい本はありましたが、まずは読み易さを優先して上記をセレクトしました。
みなさんのおススメ本もございましたらぜひ教えてください!