図書館学徒未満

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「もっと勉強しろ!」

議論の最中で「もっと勉強しろ!」と相手に言う人を見かけたりします。また、こちらが相手に同様の台詞を言いたくなったりします。

議論において土台となる知識の量は重要な問題です。論題について余りにもお互いの知識量の差が激しいと、議論ではなく一方的な講義に終始してしまい、結局議論すべき問題の本質には踏み込めずに終わったりします。

だから、相手が自分より圧倒的に知識量が少ない場合は「もっと勉強してからもう一度このお話をしましょう」と言いたくなったりするのです。

知識は言論を封殺する道具なのか

さて、ここで忘れたくないのは「相手に「もっと勉強しろ!」と言いたくなるのは、相手とこの問題についてもっと踏み込んだ話をしたいからであり、自分の優位性を見せ付けることで相手を黙らせたいからではない」という点です。

「もっと勉強しろ!」という言葉は、相手に当該問題についてより深く知ってほしいという願いの発露であると同時に「無知な人間はこの問題について発言する資格が無い」という言論封殺の意図を表すこともあり、二重性を帯びています。


「もっと勉強しろ!」という言葉に込められた二重性を克服し、対等な対話に持ち込むためにはどうしたらいいのでしょうか。

実りある対話のために -「もっと勉強しろ!」と言いたくなったら

相手に「もっと勉強しろ!」と言いたくなるとしたら、それは相手が論題についてよく知らない人である場合でしょう。そんな初学者に対してただ「もっと勉強しろ!」とのみ言い放っても、何を勉強したらいいのか相手はちんぷんかんぷんです。

例えば最近話題になっている事柄の一つである「在留資格」についてですが、この在留資格に関する書物をざっと検索しただけでも300冊近くあります。*1
このうち一体何を読んだらいいのかなど、初学者にわかるはずはありません。

実りある対話のために勉強を促している立場ならば、「もっと勉強しろ!」という言葉に続いて初学者向きの入門書を3,4冊ほど紹介してあげるとより親切であり、相手の学びにもつながっていくことでしょう*2。その結果、有意義な議論ができるようになるかもしれません。

*1:NDL-OPAC件名検索「出入国管理」 http://opac.ndl.go.jp/Process?MODE_10090001%3AS4=ON&TA_KENMEIA=%2F%BD%D0%C6%FE%B9%F1%B4%C9%CD%FD%2F&TA_KENMEIA_CO=SEARCH_CONDITION_AND&TA_KENMEIID=00572466&TA_LIBRARY_DRP=99&SEARCH_WINDOW_INFO=01&DTTn=02&LS=8271217126

*2:……なおこの際には「も、もっと勉強しなさいよッバカッ!!……ほら、私が色々教えてあげるから!」とツンデレメソッドを発動するともっといいかもしれませくぁwせdrftgyふじこlp