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図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

外国人富裕層向けツアー「Kyoto Tea ceremony」

さて本題にうつり、この度私が企画したツアー「Kyoto Tea ceremony」についてご紹介します。

どんな企画なの?

外国人観光客向けの本式のお茶会です。1ヵ月間に限定10名、京都市内にある皇族の別邸だった建物で、懐石料理・一献席・薄茶席を4時間ほどかけて楽しんで頂きます。バイリンガルのお茶の先生にお願いし、お料理やお酒、お道具すべて可能な限り最高級のものを用意し、贅沢な時間を味わって頂きます。

ツアー料金は一人一回10万円なので、まず富裕層しか来ないだろうと踏んでいます。客層をコントロールするには価格調整が一番てっとりばやいんですお(*゚-^)b☆ まぁ、この料金はほとんど実費なんですが……お金につきましては後述します。


なお、お茶会には必ず使用した茶道具を鑑賞する時間がありますので、ここで現代のアーティストや作家さんの作品を取り入れ、紹介しようと考えています。
ここが割とこの企画のキモです。

どういう経緯で生まれたの?

元々は京都のとある伝統工芸系の業界団体からのお話が元でした。現役の伝統工芸士さんの作品を広く世界に紹介し、少しでも販路拡大につなげられないか、というお話でした。

色々ゴニョゴニョあって大元の団体は今回のお話に関わってはおりませんが、色々考える中で大変面白い企画を作れたので弊社で直にやることにしました。

元々、京都に来た外国人観光客の体験する「お茶」が、立礼ですらない自分でお茶をたてるようなカジュアルすぎるものばかりであることが気になっておりました。

また、日本の主要観光地で提供されている外国人観光客向けオプショナルツアーが絶望的に少ないことも気になっています。
(このオプショナルツアーの少なさは日本の旅行代理店と海外の旅行代理店のビジネスモデルの違いに起因するものですが、この話はまた別の機会に。)


せっかく遠いところから、安くはないお金をかけて日本に来てくれたのだから、ぜひ本物の日本を味わって頂きたい。お茶の心である「おもてなし」を存分に体験して頂きたい。

それと同時に、現代日本でアクチュアルに生み出されている伝統工芸の魅力を知って頂くことで、日本の伝統工芸のファンを増やしたい。観光客の方が本国にお帰りになる時に、キッチュなスーヴェニアではなく日本の文化を内包した工芸品や、それに触れた感動をお持ち帰り頂きたい。

これが本企画の趣旨と経緯です。

何を苦労したの?


構想期間を含め、準備には2年ほどの時間がかかりました。長かった……。

一番苦労したのはやはり

「人集めとネゴシエーション

でした。


今回の企画でのメインとなる人たちは

  • 言いだしっぺである aliliput ちゃん
  • お茶席の会場を貸して下さる方
  • お茶の先生
  • 集客や予約の取りまとめなどを行って下さる旅行代理店さん


です。上記の人たちは実はもともと知っている方々であり、すんなり決まりました。一人ひとり企画を持ち込み、直に交渉してご協力頂いております。

文化財級の建物やお道具の貸し出し、また外国人観光客相手のこまごまとした対応やお金の取り扱いなどをお願いする方々なので、全く面識のない人にはお願いしにくかったというのが実情です。

幸い、コアとなる人たちに面識があったからよかったようなものの
「お茶の世界には全く知人がいない……」
などという状況でしたらこんな企画を立てようもありませんでした。
どんなビジネスでもそうかとは思いますが、京都で特に伝統文化系の人脈は値千金です。
なお、この人脈作りというポイントでは商工会議所はあまり頼りになりませんでした(> <)


上記の方々にはボランティアのようなお値段でのご協力を頂いております。先程一人10万円と書きましたが、はっきり言って色々と相場の1/6ほどのお値段です。実費です。 aliliputちゃんの手元には一人当たり3000円くらいしか残らないです。

例えば、お茶の先生にはこの10万円から一人4万円をお支払いしますが、消えモノ(抹茶とか灰とかお花とか和菓子とか)だけで2万円を超えています。茶道具の代金、動産保険料やお手伝いの人の人件費も含めると、先生の交通費が出るか出ないか怪しいレベルです。
お茶やっている人ならこの辺りの感覚がお分かりでしょうか?


ですから、本当はもっとツアー代金を値上げしてもよかったのですが、観光客の方がある程度気軽に楽しめる値段となるとまずは10万円が限度かな、と思いました。いくら富裕層狙いとは言え、4時間のツアーにかけられるお金って限界があると思うのですよね。
いつまでもボランティアはお願いできないので、ゆくゆくは値上げも考えておりますが、まずは10万円という価格からスタートしようと思いました。


その他、お茶道具を貸し出して頂ける作家・アーティストの方を探したのですが、こちらが思いのほか難航しました。

お茶道具というのは、基本的に古ければ古いほど価値が高いのですね。少なくとも作者が生きているようなものはあまり価値がありません。

しかし今回のお茶会の目的として「アクチュアルな日本の伝統工芸の魅力を知ってもらう」というのがあるので、あえて現代作家さんの作品を取り入れようと思いました。


作家さんには

  • 原則、無償で作品を貸し出して頂く
  • 作家さんのご希望に併せて、作家さんのご紹介や作品の販売、工房へのアテンドを行う
  • 作品はWEBサイトでもご紹介させて頂く
  • 破損時は保険での対応とさせて頂く

という条件を提示し、趣旨にご納得いただけた方にご協力頂きました。


「京都での開催だし、茶道具作家さんはトラック一杯集まるでしょ♪」


と思っていたのですが……実に甘かったですorz


蓋を開けてみて驚いたのが
「そもそもイマドキ茶道具なんて作っている作家さんはほとんどいない」
ということでした。


茶道具というのは、それなりのちゃんとしたお茶会で出すようなモノはそれなりの技術とお作法で製作されます。しかしほとんどの現代モノの「茶道具」は、見た目は確かに茶碗などに見えるのだけれど本式のお茶会で出すには色々とアレ……みたいなモノが大変に多く、選びだすのにとても苦労しています。


作家さんの募集はリリースを出したほかは、知人に片っぱしから声を掛けまくるという方法で行っています。伝統工芸品を扱っている方にも多くお願いしたのですが、「現代モノの茶道具はちょっと……」というお返事が多かったです。


また運よく茶道具を作っている作家さんに巡り合えたとしても、一点モノの高額な商品をお借りする訳ですから簡単にはいきません。ご提供頂けるすべての作品をお茶会に取り入れることもできません。
何度も話し合いを重ね、趣旨と条件にご納得いただける場合のみのお取り扱いとなります。


現在も作家さんの募集は行っていますが、どのように作家さんを集めればよいのかはまだ悩んでいるところです。


さて、皆様にご協力を頂けることになったとしても、丸投げという訳にはいきません。細かい打ち合わせがたくさんあります。;

  • コンセプトのすり合わせ
  • PRの方法と役割分担
  • 決済手段
  • 業務の分担
  • 薄茶席のお道具選定
  • 演出内容
  • 通訳ガイドの決定
  • 料理・お菓子の決定

……などなど、書ききれないほどの検討事項があります。
私自身はお茶の専門家ではないので、茶道に関する部分は茶道の先生にお願いすることになるのですが、それでもコンセプトやマーケティング上の観点からどっさり要望を出しました。
オーセンティックなお茶会、という芯は崩さず、それでも初心者に楽しんでもらえるようにはどうしたらよいかを探るのは苦労しつつも楽しい作業です。

それに、ここには書きませんが京都ならではのドロドロゴニョゴニョはちょっぴりですがそれなりにありました(> <)。
どの土地でも、地元に寄り添おうとしたらそういうのは大なり小なりあると思いますが、地元民でも乗り越えるのが難しい問題だったりします。そして解決のノウハウはなかなか一般化したりパブリッシュしたりして共有できるものではないので難しいですね。