図書館学徒未満

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パスファインダーの設計

公共図書館での事例も増えてきたパスファインダー大学図書館でこれを作っていないところはまずないでしょう。このパスファインダーを作成する上で、インストラクショナルデザインの考え方は大いに役立ちます。

  1. 現状と達成すべき目標を明確に定義し
  2. そこに至る過程を個々の技能要素・段階に分解して
  3. 外部から観測可能な行動として記述し
  4. それが成功したかどうかを確認する

というインストラクショナルデザインの大原則を踏まえると、利用者にとって解りやすく活用しやすいパスファインダーが作れるはずです。


具体的には以下のような試みになります;

パスファインダーの対象となる利用者を明確に定義する。

たとえば

    • 図書館情報学入門を受講している学生」
    • 「○○が判るけれど△△がわからない利用者」
    • 「最近報道で○○というキーワードを知り、詳細を調べたい社会人」など

そのパスファインダーで何を達成させたいのかを明確化する

たとえば「OPACを使えるようにしたい」ではまだ不明瞭です。OPACを使って何をさせたいのか、OPACで何ができれば「使えるようになった」とみなすのかの基準が必要です。たとえば

    • レポート作成に必要な資料を10冊以上収集させたい
    • 著者目録をたどってある文献の関連文献を収集する方法を理解させたい
    • 任意のキーワードの関連文献を統制語検索を利用して収集させたい

といったところです。
もちろんここまでがっつりしたものでなくても、単に役立つリソース一覧を「知らせたい」というだけのものはあるでしょう。それでも「なぜ知らせたいのか、知った後何に役立ててもらいたいのか」を考えるのは無駄ではないはずです。

パスファインダー同士の参照を構築する

個人的にはこれこそがインストラクショナルデザインパスファインダーの設計に用いる醍醐味だと思っています。1つのパスファインダーのみで目的を達成しようとせず、それぞれ独立した複数枚のパスファインダーを互いに参照させることで個々の利用者のスキルレベルに合わせ、また1枚だけのパスファインダーでは難しい複雑な目標を達成することができます。

パスファインダーによって目的が達成されたかどうかを知る

特に大学では利用者向けの図書館システムを導入しているところが大変多いので、それをパスファインダーの効果測定に利用できるかもしれません。難しい場合は、配布しているパスファインダーそのものにアンケート欄を設けるなどの方法が簡便でしょう。