図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

そもそも図書館で教育って何やるの?

図書館においても学習支援の観点から、教育工学やインストラクショナル・デザインへの関心が高まっているということですが、確かに図書館員の専門性議論においても教育を専門とする図書館員が定義されている論もあり、教育の場、教育活動にある程度積極的に参与する存在としての図書館が求められているのかな、と思います。
図書館員に教育方法学関連の知見があると教材選択や活用において強力な支援が可能になります。実に素晴らしいことですね。


ただ、図書館が教育の主体となり得る状況はそう多くありません。公共図書館はもとより、大学図書館もあくまで大学での授業や研究の支援が業務の主体であり、図書館自体が講座を持って利用者を"教育"できる機会は非常に限られています。導入教育的な場面での図書館利用講座やセミナーくらいではないでしょうか。*1


前回の記事では図書館におけるインストラクショナルデザイン活用について言及しませんでした。図書館関連以外のひとに向けた記事だからという理由もありますが、インストラクショナルデザインの図書館における活用はそのままではいかない、という考えがあったからです。


そもそも、インストラクショナルデザインは人間の能力をある地点からある地点へ向上させる過程を設計する際に用いられる技法です。つまり、それなりの時間を使え、かつ学習者をそれなりに強制的にコミットさせられる環境下でその威力を最大限に発揮するものです。
一方、図書館は利用者が利用するかどうかは利用者の自主性に大いに左右され、どの程度の時間をいつ割くかも利用者によってバラバラです。この時点で、図書館の側がいくら熱心に重厚長大な学習計画を立案しても、その実践には多大な困難があります。


しかし図書館においてインストラクショナルデザインを活用できない訳ではありません。授業を設計するようにインストラクショナルデザインを用いるのには無理がある、というだけです。
以下、図書館における授業以外のインストラクショナルデザイン活用の道を検討していきます。