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図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

「ライブラリースクールで習わなかった10のこと」を訳したよ!

カレントアウェアネスに上がっていた「ライブラリースクールで習わなかった10のこと」公共図書館版を訳してみました。
ライブラリースクールでは習わなかった10のこと(大学図書館版)

大学図書館版はこちらに抄訳が掲載されていたのですが、公共図書館版がなかったのでこちらに訳文を掲載します。

なかなか衝撃的な内容を含みますが、ぜひご一読ください。
もし訳の誤り等を発見されましたら、コメント欄までお知らせ頂けますと幸いです。

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Ten Things I Didn’t Learn in Library School, by Eric S. Riley

「ライブラリースクールで習わなかった10のこと」

2007年に公共図書館で働き始めた時、ライブラリースクールの授業では話し合われなかった多くのことに毎日の仕事で出会った。もし授業で扱われていたんだとしても、僕が履修した授業の中には含まれていなかったんだろうね。でも、もし"現実に目を向ける"という授業があったとしたら、それは必修科目であるべきだろう。そこで、ここに僕が全く想定していなかった事柄のリストをざっくりと挙げる。

1. 清掃作業

レファレンスインタビューとか、来館者へのサービスということは習ったと思うんだけれど、誰も詰まったトイレを、排泄物や吐瀉物や、あるいは何だか訳のわからないもので床や壁や花瓶まで汚れたトイレをどうしたらいいかなんて教えてくれなかっただろう。もちろん清掃員はいるんだけれど、でも、子どもがゲロを吐いたとか、トイレが現に溢れているとかの場合、自分でなんとかするしかない。ゴム手袋をはめて、清掃用具がどこにあるかを調べ、あとはできる限り頑張ろう。

2. 精神疾患

公共図書館でサービスを提供するということは、全ての種類のパトロンにサービスを提供するということだ。妄想患者、統合失調症強迫神経症の人々なども含まれるが、なんにせよ神から与えられた使命だ。精神疾患のある人と一緒に働く時は、彼らを他の顧客と同様に扱うのが最もよい。彼らの必要とする支援を行い、彼らは周囲の人々に迷惑をかけないことを(そしてその反対も)理解する。安全と尊敬の念を保とう。

3. 公衆衛生

僕が排泄物の掃除の次に好きじゃないのは、激しく咳き込んでいるひとや強い体臭のひとに対する苦情をさばくことだ。お客様はきちんとした衛生状態を保つべきで、体臭が強いひとはつまみだしても構わないと考える図書館員もいる。でも、明らかに病気の人に退館するよう要求するのはとても難しい。図書館を必要とするひとたちを締め出してでも公衆衛生(と大量の殺菌剤)を保持するべきか、よく考える必要がある。

4. 活動

地元の活動家は痛し痒しだ。彼らは君の立場を擁護してくれるかもしれないが、もっとも声のでかい批判者ともなりえる。彼らには全力でサービスを行い、彼らの言わなければならないことに耳を傾けるべきだ。彼らの批判を個人的に受け取ってはいけない。個人に対して言っているのではなく、組織に対して言っているのだ。地元の活動家たちと良好な関係を築ければ、彼らはきっと必要な時に助けてくれる。

5. 苦情

選書への異議申し立てや知的自由については学んだかもしれないが、タダの一般的な苦情についてはどうだろう?特に自分にはどうしようもないことについての苦情の対応については。「コンピューターが遅い」「読み聞かせの時間がうるさい」といった苦情は何度も寄せられるが、どうしたらいいかわからない。最終的には決まり文句の回答を返すようになるが、僕を信じてほしい。慣れるようになる。冷静さを失わないでほしい。君にとっては何千回も聞いたことでも、言う方にとっては最初なのだ。

6. 法外な罰金

時々、図書館の何百、何千ドル分もの資料を返却しないまま、何か借りようとする利用者がいる。大抵こうした利用者は子どもだ。このような状況を何とかする方法を学ぼう。もし資料の未返却に気付いたら、本を返却するように促し、罰金を優遇する。もし本を無くしてしまっていたら、代わりに複製か何かを持ってこさせる。罰金には理由があるが、 時には柔軟な運用も必要だ。罰金を化すことになったら最良の判断をしよう。利用者にはまた来てもらう方が、もう二度とこなくなってしまうよりマシだ。

7. 性的状況

ほとんどの人がバスルームとか図書館の人目につかない片隅、バックルームといった場所からコソコソ立ち去る人の話を聞いたり、目にしたことがあるだろう。スリルがあるのか、それとも他に場所がないのか、図書館は一部の人にとってそういう場所として使われる。そういうわいせつな行為をした人を締め出す以外の対処方法は思いつかない。もし余りに悪質な場合は警察を呼ぶべきだ。

8. 公共物の破壊行為

世の中にはバカなことをするのが面白いと考えるやつがいる。彼らは故意に建物にスプレーで落書きをしたり、家具にマーカーで落書きをしたり、物を蹴ったり壊したりする。監視が行き届いていないか、あるいは閉館中にこういう破壊行為が発生する。こうした不良による深刻な器物破損があったら、警察に通報しよう。清掃員をできる限り早く呼び、椅子のマーカーを落とし、窓は交換しよう。壊された器物で怪我をしないよう細心の注意を払うこと。

9. 親/子の懲罰

親が子どもをピシャリと叩いたり、もっとひどい時には殴ったりすることがある。図書館で子どもを叱るのに最後の一線を越えるのはいつだろう?申し訳ないが、判断は皆さんに任せよう。もし親の子どもに対する態度が一線を越えていて虐待だと感じたら、警察と社会福祉課に相談しよう。
反対に子どもを放置し、付き添う人がいない状態で長い時間、場合によっては一日中一人にする親もいる。子どもがとても幼い場合、警察を呼ぼう。そういう子どもを監視したり保護したりするのは君の仕事ではない。親の仕事だ。

10. 暴力

図書館での暴力事件は突然発生する。ねたみ、不良、窃盗、器物損壊、あらゆるものが暴力事件を引き起こす。もし暴力が勃発したら即座に警察を呼ぼう。警備員がいるなら、そういう事件に対処して、後で報告書を出してくれるだろう。事件が起こったら、報告書の提出を求められる。思い出せる限り詳しく書き、責任者に手渡そう。事件に関わった人物に一切の情報を渡してはならない。彼らへの情報提供は支援や教唆にあたると解釈される。冷静になり、警察からの指示に従おう。

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なんだか事あるごとに警察を呼ぶことを勧めていますが、アメリカの図書館はバイオレンスですね……。
でも、図書館は来館者の安全を守る義務がありますから、事件が発生したら速やかに警察を呼ぶのも大切だと思います。

罰金の話が出ているのはさすがアメリカですね。