図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

「本を貸し出す」とは如何なる行為か


#図書館学の中では何度となく繰り返されてきたであろうすげーー今更な話題を持ち出して恐縮ですが(^^;


「本を貸し出す」という行為が、利用者が「これお願い」とカウンターに差し出した本を「1/12までです」などと言いながら貸し出し処理を行い、利用者に戻すことだけを指すのであれば、それは司書要らないどころか人間すら要らない訳です。


それだけではない、図書館が提供している「本を貸し出す」という行為を取り巻く様々なサービス、たとえば

  • 利用者がスムーズに図書館の資料を利用できるような図書館内システムの設計
  • 何百冊という特定ジャンルの本の中から、多くて数十冊の「蔵書価値のある」本を選ぶ選書
  • 利用者一人ひとりのニーズを見極め、数十冊からその人のための数冊を紹介するリファレンス
  • その人が更に自力での学習を望んだ場合、資料検索方法やデータベース等の扱い方、チャートの読み方の指導
  • 資料動向やリファレンス傾向から利用者のニーズを読み取り、それらを満たすブックフェアやセミナー等の開催。あるいは案内リーフレット等の作成。
  • 絶えず変動する書架の中身を調整し、利用者が目指す資料にアクセスしやすい状態を常に整える書架整理(id:myrmecoleon 様、ありがとうございます:) )

これらのサービスは高い専門性が求められるものであり、まさに「司書」が担うべき業務です。*1
そしてこれらは公共図書館だけ、あるいは学校図書館にだけ必要なものではなく、利用者への奉仕を目的としたすべての図書館が提供するべきサービスでしょう。その点において公共図書館学校図書館、どっちも「司書」としての専門性を必要とする機関であることに変わりはありません。

本を貸し出すだけが図書館ではないと思うし、そうであって欲しいというか。

本当にそう思います。利用者と図書館がもっとお互い幸せになれる道が開けることを祈ります。

*1:これらのサービスの中で何処までを「貸し出し」に含むか議論しようぜとか言い出すと本当にドツボなので止めます(何)。