図書館学徒未満

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獅子身中の虫

最近「モンスターペアレントって人たちが居て、あれこれ難癖をつけてくるから現場の先生は大変」という話を聞くので、どんなものかと思って学校や塾の先生に話を聞いてみると事実はちょっと異なっていて色々モニョってしまう。


学校を全数調査した訳じゃない、身の回りのほんの数例を見ただけだからそうではない場合もあるかもしれない。その上で。


どの先生の話も
「確かに訳の分からない親も子どももいてそれなりに困っている。でもそれ以上に、上司や同僚の理解や協力がないのがキツい」
に集約されるものだった。


何も先生だけに限ったことじゃない。例えば世の中のソフトウェア開発現場にはデスマーチプロジェクトってモノがいくつもあって、それはめまぐるしく変わる顧客の要望に振り回された結果の産物だって言う人がいる。でも当の現場のプログラマたちはわがままな顧客よりも、そのわがままな顧客にへつらうだけで現場のことを全く考えなかったマネージャーを恨んでいる。


企業の営業担当者だってそうだ。理不尽なクレームを入れる顧客はもちろんいる。でも、真の敵は「自分で何とかしろ!」と怒鳴るだけだったり、黙って人事評価をさげるだけの上司、もしくは見て見ぬ振りをしたり、場合によっては足を引っ張ったりする同僚だ。


獅子身中の虫。味方が本当に一丸となっているなら、人間はそうそう潰れたりしない。でも孤独と不信はいろんな意味で簡単に人間を潰し、組織を腐らせる。「モンスターペアレント」は確かに解決すべき社会問題かもしれないけれど、彼らは「学校」の真の敵ではない。そんな言葉であたかも「学校」の敵が外にいるように言うのは、悪質な問題のすり替えだと思うよ。


それと、世の中のコンサルがある組織を立て直す上で、その組織の外の世界に手を加えることなく、組織内部の改革だけで再建できてしまうのは、やはり真の敵って外よりも中にいることが圧倒的に多いからなんだなぁと思いました。