図書館学徒未満

図書館学に関する本を読んだり調べごとをしたりしています。はてなダイアリーから移行しました。

ビジネス支援図書館

本著では、理想の図書館を

知を産み、育て、議論を促し、新しい社会を作る何ものかであるに違いない。それは、いままでの図書館を乗り越えた全く違う何かではないだろうか。

(前掲書 p.10)

と定義し、その一つの具体的な形としてビジネス支援図書館*1を提案しています。

ビジネス支援図書館とは

図書館の世界でも、市民の図書館と言うとき、本を消費することには関心が行くのに、市民は何かを成し遂げたり、生産活動をしたり、本を作ったりするということが抜け落ちている(ように見える)のはどうしてだろうか。消費とものつくりは両輪であるはずなのに、消費の読書が普通の読書であると図書館の人々は思ってきたということは不思議なことだ。
 (中略)(本は)何かを作るための出発点であるなら、読書の後にもの作りがある。(中略)税金を生み出す基礎になる。

(前掲書 p.57)

との問題意識から松本氏らが提唱している「人々の経済活動を支援する」図書館のことです。
この思想は、菅谷明子『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― 』の中にも色濃く見られます。

しかし、更に古くこの発想が見られるのはS.R.ランガナタン『図書館学の五法則』でしょう。この本の中では、図書館は明確に「人々の日々の生活や実務に役立つ知識を提供する機関」として論じられています。図書館とはそもそも、市民の日々の生活に寄与するのが本義のようです:)

*1:「主にインターネットで情報提供を行う」としながら、このサイトが全然更新されないのが気になる。このサイトを見てもわが国のビジネス図書館の現状について全くわからないのが歯がゆい。