10. 利用者教育とリテラシーの専門家
スペイン文化省による図書館員の専門性の定義を読もう企画 "Perfiles profesionales del Sistema Bibliotecario Español: fichas de caracterización " 今回は「利用者教育とリテラシーの専門家」です。
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利用者教育を図書館における正規のサービスと位置づけ、そのための専門性を定義する試みには個人的にはとても感銘を受けます。
図書館はただ利用者の求めに応じて資料を出すだけではなく、その資料をどう用いるべきか、そしてどう問題を解決するかについての情報をも提供して、はじめて役割が果たせるのではないでしょうか。
1. 役職名 (役職を規定する呼称)
利用者教育とリテラシーの専門家
5. 専門分野(彼らが職務を遂行する領域)
- 利用者への気配り
- 利用者にフォーカスを置いた学習活動
6. 必要な能力レベル
N-1 技術に対する認識 / N-2 実践的な知識と専門的な技術 / N-3 ツールに熟達 (方法論的領域)
N-2 実践的な知識
9. 特徴 (職務上の活動)
- 異なるセグメントにいる利用者たちの関心領域と情報探索行動を分析し、適切な教育プログラムを同定する。
- 利用者が情報活用スキルを得られるような教育活動を企画・設計、提供し、広報を行う。
- 利用者の資料やツールの活用、また情報資源の自発的な利用を促すために資料やツールを開発・改善する。
- あらゆるツールや情報資源を取り扱えるような教育活動を開発する
- 教育活動や教育資源を評価するためのツールを設計する
- ニーズにあった情報の取扱いができるようになるよう利用者を教育する
- 日常での学習に役立つような基本的な知識や技能を利用者に提供する
- 知識を得る上で情報を効果的かつ批判的に選択・利用するために必要なリソースを利用者に提供する。
- 利用者に対して情報源を利用する上でのアドバイスを行う
- 館の運営戦略を決定するプロセスに参与する
11. その他の能力 (望ましい職能; 太字は特に望ましいもの)
専門的な能力
- I01. 利用者と顧客との結びつき
- I07. 情報探索
- I12. 製品やサービスのデザイン
- T03. 出版と編集
- T04. インターネット技術
- T05. 情報技術とコミュニケーション
- C01. 口頭でのコミュニケーション能力
- C02. 文章でのコミュニケーション能力
- C03. 映像でのコミュニケーション能力
- C04. コンピューターを介したコミュニケーション能力
- C05. 外国語の能力
- C06. 対人関係
- C07. 組織間のコミュニケーション能力
- G08. 訓練、教育活動
個人の資質(技能)
- A2. コミュニケーション能力
- A4. 共感力
- A5. チームワークの精神
- A7. 教育的な感覚
- B1. 知的好奇心
- C2. 批判的思考力
- C3. 統合的思考力
- D2. 素早い応答
- E2. 厳密さ
- F1. 適応力
- F2. 予測力
- F4. リーダーシップ
- F5. 組織への帰属意識
12. 備考
特に重要な個人の能力はA5(チームワーク)である。設備や資料への意識は他の専門家(コンピュータエンジニアやグラフィックデザイナーなど)と協働する際に必要となるだろう。加えて、A2(コミュニケーション能力)も同様に重要な資質である。