5. 図書館技術者
スペイン文化省による図書館員の専門性の定義を読もう企画 "Perfiles profesionales del Sistema Bibliotecario Español: fichas de caracterización " 今回は「図書館技術者」です。
(目次エントリはこちらです)
今回は我が国の多くの館でもなじみのある役職です。前回ご紹介した「蔵書構築の技術責任者」とこの役職がちがうものとして規定されていることは大変興味深く思います。
(以下、原本では表になっていますが、表組み表記が巧く行かないので書き下します)
1. 役職名 (役職を規定する呼称)
図書館技術者
2. その他の呼称
- ライブラリーアシスタント
- テクニカルサポート
- 中間技術者
- 技術図書館員
3. ミッション
図書館の中間管理職として、蔵書管理と文書提供を目的としたプロセスと活動を実行する。
5. 専門分野(彼らが職務を遂行する領域)
館内の様々な場所
6. 必要な能力レベル
N-1 技術に対する認識 / N-2 実践的な知識と専門的な技術 / N-3 ツールに熟達 (方法論的領域)
N-2 実践的な知識と専門的な技術
9. 特徴 (職務上の活動)
- 図書館の蔵書を維持管理する
- 書誌や文書を各分野へ分類し、目録化する
- 書誌データベースや目録を維持し、情報を更新する
- 館内蔵書の収集、維持、保存、利用推進および広報
- データベースを利用した書誌検索を案内する
- 文化活動や読書推進運動を組織し、発展させる
- 総合情報サービスや文献の配送、自動化されたサービスや電子図書館サービスを管理する
- 利用者教育を指揮する
- 図書館サービスのための館外提供資料(原文"materiales de difusión"; "outreach material". 日本語でより一般的な訳語があれば教えてください)の拡充
- 技術レポートや統計資料を作成する
- 担当するサポートスタッフの業務を計画する
- 機関リポジトリの拡充と維持を支援する
10. 他の役目 (職務に直接の関係はないが、通例期待される活動)
- 文化的アウトリーチ活動と図書館協力体制を発展させる
- 図書館資料の選択と収集の支援を行う
- ILLに取り組む
11. その他の能力 (望ましい職能; 太字は特に望ましいもの)
専門的な能力
- I01. 利用者と顧客との結びつき
- I03. 知財関連法の知見
- I04. コンテンツや知識の管理
- I05. 情報源の同定や検証
- I06. 情報の分析や表現
- I08. 蔵書や資産の管理
- I09. 蔵書や資産の拡充
- I10. 原本の取扱
- I11. 設備・備品の準備
- I12. 製品やサービスのデザイン
- T01. コンピューターデザインと情報システム
- T03. 出版と編集
- T04. インターネット技術
- T05. 情報技術とコミュニケーション
- C01. 口頭でのコミュニケーション能力
- C02. 文章でのコミュニケーション能力
- C03. 映像でのコミュニケーション能力
- C04. コンピューターを介したコミュニケーション能力
- C05. 外国語の能力
- C06. 対人関係
- C07. 組織間のコミュニケーション能力
- G01. グローバルな情報管理
- G02. マーケティング
- G03. 販売と流通
- G05. プロジェクトマネジメントと計画立案
- G06. 診断と評価
- G08. 訓練、教育活動
個人の資質(技能)
- A2. コミュニケーション能力
- A4. 共感力
- A5. チームワークの精神
- A6. 交渉力
- A7. 教育的な感覚
- C1. 分析力
- C2. 批判的思考力
- C3. 統合的思考力
- D1. 分別
- D2. 素早い応答
- E2. 厳密さ
- F1. 適応力
- F3. 決断力
- F4. リーダーシップ
12. 備考
比較的小規模の図書館では、館長や副館長や責任者などが役割を代行する。技術的な設備の少ない館では、管理責任者が大きな役割を果たす。このような場合、技術担当者は館の戦略を策定するプロセスにも参加する必要がある。
アシスタントコーチとは異なる。特に副管理職の立場にある場合、これはより管理側に近い職務を遂行するものである。